クールジャパンの闇 アニメ業界のブラックぶりは「月300時間労働・初任給6千円」

クールジャパンの闇 アニメ業界のブラックぶりは「月300時間労働・初任給6千円」:
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(Deagreez/iStock/Thinkstock/画像はイメージです)  アニメや漫画は日本が世界に誇るポップカルチャーだが、その職場環境は相当ブラックだという伝えられている。  GPSを使って残業時間の証拠を自動で記録できるスマホアプリ『残業証拠レコーダー』を開発した日本リーガルネットワーク社には、元アニメーターからも恐怖のブラック体験談が寄せられている。    ■徹夜続きで月300時間労働  M・Yさんは、アニメーション専門学校を卒業。アニメ業界がブラックであることは知っていたため、一般企業への就職を希望したが、家族の要望でアニメ会社を受けたところ合格してしまった。  「都内のオフィスへ通勤していたのでOL社員のように働いていましたが、契約形態は業務委託でした。固定給のアニメーターはほんの一握りなので、当たり前にそれを受け入れていましたが、最初は量をこなすのが難しく初任給は月6千円で貯金を崩す生活でした。     十何連勤も出社し、徹夜がある日も多く、タイムカードをみると月300時間を越えていました。噂通りのブラックで、心身ともに初っ端から辛かったです」    ■子供に夢を与える職場に夢はなし  当初は月6千円だった収入もわずかに上がったものの、まっとうに生活できる金額ではなかったようだ。  「私の描いていた作品は子供に夢を与える代表のような作品ばかりでしたが、残念ながら現場は夢もなにもありませんでした。     半年経ちようやく6万程度稼げるようになるも、貯金を崩す生活は変わらず、社長に生活が厳しいことを相談すると、自分の生活水準を極端に下げる話ばかりされました。『スマホを解約してガラケーにしろ』とはよく言われました」    ■辞めるのにもひと苦労  あまりの拘束時間と給与の安さに、M・Yさんは1年経たずして限界を迎えることになった。  「新社会人になってから初めての冬を迎える頃、インフルエンザにかかってしまったのですが、その時も出社し徹夜で締め切りに追われながら作品を描いてたら倒れてしまい、ようやく辞めようと決意しました。     社長へ辞めることを告げた際、『そんな中途半端な気持ちでアニメーターになろうとしたの? 頑張るって言ったじゃないか、詐欺だ!』と罵られて、なかなか辞めさせてもらえませんでした。     しばらく社長と格闘した末、なけなしのお金でデパ地下のお菓子を購入し、幾度目かの説得でようやく辞めることができました。本当にアニメ業界は異常でした。クールジャパンというわりに政府は何も対策をしていないので、これから改善してほしいと切に願います」    ■弁護士の見解は…    多くの人を楽しませるアニメの裏側に、このような悲惨な世界があったとは、想像を超えていた読者もいるのではないだろうか。  とはいえ、「業務委託契約」ということもあり、法的な問題はどこにあるのか、鎧橋総合法律事務所の南谷泰史弁護士に聞いてみた。  南谷弁護士:契約形態が業務委託だったとのことですが、形式上、業務委託や請負等となっていても、法的には雇用契約と解釈され、労働基準法が適用されることがあります。具体的には、     ①仕事の依頼への諾否の自由  ②業務上の指揮監督の有無  ③時間的・場所的拘束  ④従業者側が業務を自由に第三者に委託できるか  ⑤報酬の金額や計算方法     などを踏まえて、契約の実質が雇用関係といえる場合、法的には雇用契約と解釈されます。    ■今回のケースはどう判断できる?  では、M・Yさんの場合は、どう判断されるのだろうか。  南谷弁護士:本ケースでは、①仕事の依頼への諾否の自由はなかったと推測され、③オフィスという場所的拘束やタイムカードでの時間管理がなされており、さらにこの会社に専属して働くことを事実上強いられていることから、雇用契約と解釈される可能性も十分にあるでしょう。     雇用契約と解釈される場合、6千円や6万円という月給額は最低賃金法に違反しますので、最低賃金との差額を請求できます。     さらに労働時間や退職拒否についても、問題があるという。  南谷弁護士:また、「十何連勤」や「月300時間」を越える労働は、労基法32条、35条違反であると同時に、残業時間分の残業代を支払ってもらう権利もあります。     そして退職についても、雇用契約であれば、契約期間の定めがない限り、上司が同意しなくとも従業員は自由に退職することができ(民法627条1項)、社長には退職を拒否する権限などありません(2週間以上前の通知は必要です)。    ■「業務委託」と解釈された場合でも  仮に業務委託と解釈されたとしても、違法性が高いと南谷弁護士は指摘する。  南谷弁護士:他方、業務委託と解釈される場合、労基法は適用されません。ただし、公正取引委員会は、企業と個人事業主との取引に独占禁止法を適用する運用を行う旨を発表しています。     本件も、「著しく低い対価での取引要請」であり不当にM・Yさんに不利益を与えるといえる場合には、独占禁止法違反となる可能性があります。また、仮に業務委託であっても、M・Yさんが辞めることを契約上の根拠なく拒否することはできません。     アニメーターは子供に夢を与える作品を作る素晴らしい仕事だと思います。しかし、「仕事の内容が素晴らしい」ことを理由に、不当で非人間的な就業条件の強制が蔓延していては、そのような仕事を目指す人も減り、産業として衰退していくのではないかという危惧を抱かざるを得ません。  ・合わせて読みたい→サウナと水風呂で「我慢大会」のような訓示も 体をも蝕むブラック企業の恐怖 (取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク)
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